サキュバスに不意打ちを食って、戦士とロードが1ずつ。地下5階に下りてから、もういくらくらい経験持ってかれているんだろうなあ……。
なにしろ場所が場所なので、ドレイン食らったといってマロールで逃げるわけにも行かないのだ。そんなことをすれば、またぞろ石の中にワープアウトして全滅、6人蘇生→ロストの危険と、装備/資金の壊滅的消失の被害をこうむることになる。
そういうことなので、ここは黙ってドレインを受け入れるしかないのだが……さすがにこれだけ賽の河原状態が続くと、いい加減げんなりもしてくる。
地下1階のマーフィーさんを使ってなくした分を取り戻す、ということもできなくもないが、現段階では平均レベルが16程度になってきており、上級職の面々は次まで45万などという恐ろしい数字を要求されるようになっている。二人だけで倒しても2200程度、一人で倒しても4400程度のマーフィーさんでは、さすがに45万を稼ぎ出すのは根性を要する作業だ。
しかし平均レベルといっても、レベルが上がるのはもっぱら直接攻撃にさらされない後衛の連中だけ。前衛を務める2チーム分6人は全員最低2レベル、酷いやつになると6レベル分くらいやられており、さすがにゲームバランスに疑問を感じ始める瞬間である。まあ……15レベルでまともな戦いにならないことがあったりする以上、バランスはもう崩壊し始めているのだが。
ここからは、ちょっとした愚痴というかまあ講釈になる。
そもそも、初作ウィズのシステムは基本的に13レベルになった時点である意味「極まってしまう」ものであり、クリアレベルも平均15からあればかなりの損害をこうむりこそすれなんとかなってしまう程度であったのだ。ということで、基本的にこのシステムは15かそこらでシナリオエンド、それ以上は趣味の世界、という成長ペースだったわけ。まだ、シナリオの展開とキャラの成長ペースが一致していた時期になる。
で、ファンの希望に応えるべくキャラを引き継げる二作目が作られたわけだが、これはシステムには一切変更なし。んで、引継ぎを前提としているため最初のマップからいきなり初作の後半クラスの敵が出る。ウィザードリィマガジンの紹介記事に「トレーニンググラウンドでのキャラメイキングは不可能」とあるのはこれゆえ。実質レベル1から育てるのが不可能ということだ。
ここまではまあよかった。しかしこのあとに続くリルガミンの遺産、まあ番外編のワードナの逆襲はおいておくにしても、災禍の中心あたりになってくるとシナリオのボリュームを増やすのに迷宮はでかくなり敵は幅広くなりで、最終的に出てくる敵は以下のような化け物である。
HP:382〜542(32D6+350)
AC:-12
ダメージ:112(4)[5〜28(1D24+4), 5〜28(1D24+4), 5〜28(1D24+4), 5〜28(1D24+4)]
呪文:75%-僧8
特殊:後 麻 石 吸4 首 回10
抵抗:魔85%僧95% 火 冷 石 死
(上記、『得物屋24時間』から引用)
上の意味がわかるだろうか? 一回の攻撃で平均して60程度のダメージに、麻痺、石化、ここまで散々騒いでいるレベルドレインを一気に4レベル分と、それに加えて即死。これが4回分ヒット計算される。魔法はほぼ効かず、また仮にヒットしたとしても一部の魔法はまともに効果を発揮しない。
平均60ダメージに特殊効果たっぷり、敵の体力は最低でも400からあるとなれば、15レベル程度のキャラでは太刀打ちなどできない。実際、俺も過去40レベルくらいまであげてようやくこいつとまともに戦えるようになった記憶がある。
まあ上ではちと極端な例を出したが、しかしこんな敵が出るようになっても、成長のペースやゲームバランスの根幹をなすシステムには一切手は入っていない。
すなわち、ここでの要点は「シナリオのボリュームを増やそうとして敵の強さやマップの広さを引き上げた結果、キャラクターの成長ペースと実際の展開が乖離してしまった」という、シリーズを展開させる際のミスのお話なのだ。
たとえば、魔法使いは13レベルで究極の魔法まで覚えてしまう。設定上、その魔法使いは「達人」であり、近隣諸国に並ぶ者のない豪傑といってもいい。
なのに、そんな程度のレベルではまるで勝てない敵がわんさかおり、しかも探検はまだ中ほど。挙句、その究極の魔法をぶつけても、効かないことが多いばかりか運良く効いたとしても敵の体力が高すぎてあんまり意味がないのだ。
こうなると、そのシナリオを解きおおせるころにはそのキャラは世界レベルの達人になってしまう。街ひとつ救うのに世界レベルの力が必要、というのもまたスケールがおかしな話だ。すでにインフレと呼んでいいレベルだろう。
このインフレーションはどんどん肥大化していき、ゲームボーイのウィザードリィ外伝のクリアレベルは1が最低でも70、2も70程度では厳しく3は100ほど必要になる。3でおまけマップを踏破するなら200でもヤバイ。
ちなみに外伝2はシナリオの関係上、最後のほうに出てくる敵がことごとく女神転生にも高位の魔王として登場しているやつばかりであり、よって外伝2をクリアした時点でキャラクターたちは神をも圧倒する力を持つことになる。
さらに、ウィズエンパイアでは「敵に炎の息を浴びせられて3000だの一万だののダメージを食らう」という事実がある時点で、もうお話にならないところまで踏み込んでいることがわかるだろう。レベル13で達人と呼ばれた、そんな世界はどこにもなくなってしまっているのである。
このようなインフレを、少々強引ながらも改善したタイトルもあった。ウィズクロニクルがそれで、あれはもっともっと評価されてしかるべきものではなかったか、と思う。まあアレも極端な面があったけどね。
ここまで、成長ペースは速いのにシナリオのボリュームがありすぎておかしなことになっている、という話をしてきたが、このタイトルはそこをいじった。レベルアップはほかのファミリーに比べてもかなり遅く、しかもレベルが上がっても魔法を覚えるペースが尋常でなく悪い。
確か、これは最上位の魔法を覚えられるようになるのが30レベル以上。初作の13レベルで最上位の魔法を覚えていた時期と比べるとぐっとあがっており、しかも成長ペースの遅さからここまで行くのに酷く時間を食う。俺がやったときは、あんまりガツガツ遊ばなかったというのもあるけれど実時間で半年ほどかかった。
ともかく、これはキャラたちが『極まる』頃合にちょうどラストボスとの戦いが見えてくるため、イメージとしては初作を遊んでいるかのような感じになっており、レベルを一度に10抜かれるとかそういうめちゃくちゃな点を差し引いてもかなりイケてる具合なのであった。
新ウィズと銘打たれた6作目、コズミックフォージ(禁断の魔筆)はそもそもゲームシステムから刷新されているため、ここまで長々しゃべってきたインフレからは解放されている。まあ、スーファミ版はなんでか知らないが物理攻撃がまるで役に立たず、あれはあれでかなり困っているが。
###
唐突に、スーファミのウルティマ6を始めてみた。なんというか、レベルを上げては下げられ上げては下げられの繰り返しでささくれだった心を癒してもらえそうな、そんな感じがしたのだ。
こちらは上から見下ろし型で、システム的にも戦闘は刺身のツマ程度、主眼は「人々との会話」と「遠い旅路」に集約される。
「話す」コマンドで会話を始めるのはお約束だが(というかこのシリーズがオリジンだ)、このタイトルはそこから先、「会話」がちゃんとある。質問できるワードのリストが表示され、こちらからした質問でさらにワードが増える。そのワードについて質問することでさらに……というように、インタラクティブ性があるのだ。
これが後半、特定の条件を満たすことでさらにワードが増えるキャラもおり、なんというか、ちゃんと会話してるんだなあ、という気になる。確かトリプルクロスボウはこのシステムに絡めて入手条件が設定されているはず。
んでこのゲーム、今やっても異様にマップが広い。マニュアルに地図があったようにも思うが、とにかく概略でも手元に世界地図がないとまずゲームにならないくらい広い。
しかし、その広さがいいのだ。時間をかけてとことこと歩き、街から街へ旅してまわり、まあ途中でチンピラやら怪物やらに襲われたりもするけれど、そうして行き着いた先で人々と話をする。本サイトでもこのゲームの話題は扱ったが、やはりこちらは「冒険活劇」ではなく、「ホビットの冒険」のような派手な見せ場こそないものの味のある、渋い「冒険物語」という感じがする。
それと、4からテーマになっている「徳」、要するに良き心のあり方だが、今見るとかなり深いことを言っている。特にはっとしたのは、宿屋の親父の話。
悪い心を持った人間は他人を蹴落として自分がえらくなったように思いたがるが、それは違う。他人が低いところに落ちただけで、自分の場所は変わっちゃいないのさ。
自分のはしごを上って行くのはとても大変なことだ。だが、それをやり遂げた先には、さらに高いところが見えるもんだよ。
なんだか、今のこのおっさんになった身でこれをしっかり解いて、中に込められていることを全部汲み取ったら、少し人生の見方が変わるかもな、と思ったり。あれこれ並行して進める形になるが、これもじっくり取り組んで行きたいものだ。
なにしろ場所が場所なので、ドレイン食らったといってマロールで逃げるわけにも行かないのだ。そんなことをすれば、またぞろ石の中にワープアウトして全滅、6人蘇生→ロストの危険と、装備/資金の壊滅的消失の被害をこうむることになる。
そういうことなので、ここは黙ってドレインを受け入れるしかないのだが……さすがにこれだけ賽の河原状態が続くと、いい加減げんなりもしてくる。
地下1階のマーフィーさんを使ってなくした分を取り戻す、ということもできなくもないが、現段階では平均レベルが16程度になってきており、上級職の面々は次まで45万などという恐ろしい数字を要求されるようになっている。二人だけで倒しても2200程度、一人で倒しても4400程度のマーフィーさんでは、さすがに45万を稼ぎ出すのは根性を要する作業だ。
しかし平均レベルといっても、レベルが上がるのはもっぱら直接攻撃にさらされない後衛の連中だけ。前衛を務める2チーム分6人は全員最低2レベル、酷いやつになると6レベル分くらいやられており、さすがにゲームバランスに疑問を感じ始める瞬間である。まあ……15レベルでまともな戦いにならないことがあったりする以上、バランスはもう崩壊し始めているのだが。
ここからは、ちょっとした愚痴というかまあ講釈になる。
そもそも、初作ウィズのシステムは基本的に13レベルになった時点である意味「極まってしまう」ものであり、クリアレベルも平均15からあればかなりの損害をこうむりこそすれなんとかなってしまう程度であったのだ。ということで、基本的にこのシステムは15かそこらでシナリオエンド、それ以上は趣味の世界、という成長ペースだったわけ。まだ、シナリオの展開とキャラの成長ペースが一致していた時期になる。
で、ファンの希望に応えるべくキャラを引き継げる二作目が作られたわけだが、これはシステムには一切変更なし。んで、引継ぎを前提としているため最初のマップからいきなり初作の後半クラスの敵が出る。ウィザードリィマガジンの紹介記事に「トレーニンググラウンドでのキャラメイキングは不可能」とあるのはこれゆえ。実質レベル1から育てるのが不可能ということだ。
ここまではまあよかった。しかしこのあとに続くリルガミンの遺産、まあ番外編のワードナの逆襲はおいておくにしても、災禍の中心あたりになってくるとシナリオのボリュームを増やすのに迷宮はでかくなり敵は幅広くなりで、最終的に出てくる敵は以下のような化け物である。
HP:382〜542(32D6+350)
AC:-12
ダメージ:112(4)[5〜28(1D24+4), 5〜28(1D24+4), 5〜28(1D24+4), 5〜28(1D24+4)]
呪文:75%-僧8
特殊:後 麻 石 吸4 首 回10
抵抗:魔85%僧95% 火 冷 石 死
(上記、『得物屋24時間』から引用)
上の意味がわかるだろうか? 一回の攻撃で平均して60程度のダメージに、麻痺、石化、ここまで散々騒いでいるレベルドレインを一気に4レベル分と、それに加えて即死。これが4回分ヒット計算される。魔法はほぼ効かず、また仮にヒットしたとしても一部の魔法はまともに効果を発揮しない。
平均60ダメージに特殊効果たっぷり、敵の体力は最低でも400からあるとなれば、15レベル程度のキャラでは太刀打ちなどできない。実際、俺も過去40レベルくらいまであげてようやくこいつとまともに戦えるようになった記憶がある。
まあ上ではちと極端な例を出したが、しかしこんな敵が出るようになっても、成長のペースやゲームバランスの根幹をなすシステムには一切手は入っていない。
すなわち、ここでの要点は「シナリオのボリュームを増やそうとして敵の強さやマップの広さを引き上げた結果、キャラクターの成長ペースと実際の展開が乖離してしまった」という、シリーズを展開させる際のミスのお話なのだ。
たとえば、魔法使いは13レベルで究極の魔法まで覚えてしまう。設定上、その魔法使いは「達人」であり、近隣諸国に並ぶ者のない豪傑といってもいい。
なのに、そんな程度のレベルではまるで勝てない敵がわんさかおり、しかも探検はまだ中ほど。挙句、その究極の魔法をぶつけても、効かないことが多いばかりか運良く効いたとしても敵の体力が高すぎてあんまり意味がないのだ。
こうなると、そのシナリオを解きおおせるころにはそのキャラは世界レベルの達人になってしまう。街ひとつ救うのに世界レベルの力が必要、というのもまたスケールがおかしな話だ。すでにインフレと呼んでいいレベルだろう。
このインフレーションはどんどん肥大化していき、ゲームボーイのウィザードリィ外伝のクリアレベルは1が最低でも70、2も70程度では厳しく3は100ほど必要になる。3でおまけマップを踏破するなら200でもヤバイ。
ちなみに外伝2はシナリオの関係上、最後のほうに出てくる敵がことごとく女神転生にも高位の魔王として登場しているやつばかりであり、よって外伝2をクリアした時点でキャラクターたちは神をも圧倒する力を持つことになる。
さらに、ウィズエンパイアでは「敵に炎の息を浴びせられて3000だの一万だののダメージを食らう」という事実がある時点で、もうお話にならないところまで踏み込んでいることがわかるだろう。レベル13で達人と呼ばれた、そんな世界はどこにもなくなってしまっているのである。
このようなインフレを、少々強引ながらも改善したタイトルもあった。ウィズクロニクルがそれで、あれはもっともっと評価されてしかるべきものではなかったか、と思う。まあアレも極端な面があったけどね。
ここまで、成長ペースは速いのにシナリオのボリュームがありすぎておかしなことになっている、という話をしてきたが、このタイトルはそこをいじった。レベルアップはほかのファミリーに比べてもかなり遅く、しかもレベルが上がっても魔法を覚えるペースが尋常でなく悪い。
確か、これは最上位の魔法を覚えられるようになるのが30レベル以上。初作の13レベルで最上位の魔法を覚えていた時期と比べるとぐっとあがっており、しかも成長ペースの遅さからここまで行くのに酷く時間を食う。俺がやったときは、あんまりガツガツ遊ばなかったというのもあるけれど実時間で半年ほどかかった。
ともかく、これはキャラたちが『極まる』頃合にちょうどラストボスとの戦いが見えてくるため、イメージとしては初作を遊んでいるかのような感じになっており、レベルを一度に10抜かれるとかそういうめちゃくちゃな点を差し引いてもかなりイケてる具合なのであった。
新ウィズと銘打たれた6作目、コズミックフォージ(禁断の魔筆)はそもそもゲームシステムから刷新されているため、ここまで長々しゃべってきたインフレからは解放されている。まあ、スーファミ版はなんでか知らないが物理攻撃がまるで役に立たず、あれはあれでかなり困っているが。
###
唐突に、スーファミのウルティマ6を始めてみた。なんというか、レベルを上げては下げられ上げては下げられの繰り返しでささくれだった心を癒してもらえそうな、そんな感じがしたのだ。
こちらは上から見下ろし型で、システム的にも戦闘は刺身のツマ程度、主眼は「人々との会話」と「遠い旅路」に集約される。
「話す」コマンドで会話を始めるのはお約束だが(というかこのシリーズがオリジンだ)、このタイトルはそこから先、「会話」がちゃんとある。質問できるワードのリストが表示され、こちらからした質問でさらにワードが増える。そのワードについて質問することでさらに……というように、インタラクティブ性があるのだ。
これが後半、特定の条件を満たすことでさらにワードが増えるキャラもおり、なんというか、ちゃんと会話してるんだなあ、という気になる。確かトリプルクロスボウはこのシステムに絡めて入手条件が設定されているはず。
んでこのゲーム、今やっても異様にマップが広い。マニュアルに地図があったようにも思うが、とにかく概略でも手元に世界地図がないとまずゲームにならないくらい広い。
しかし、その広さがいいのだ。時間をかけてとことこと歩き、街から街へ旅してまわり、まあ途中でチンピラやら怪物やらに襲われたりもするけれど、そうして行き着いた先で人々と話をする。本サイトでもこのゲームの話題は扱ったが、やはりこちらは「冒険活劇」ではなく、「ホビットの冒険」のような派手な見せ場こそないものの味のある、渋い「冒険物語」という感じがする。
それと、4からテーマになっている「徳」、要するに良き心のあり方だが、今見るとかなり深いことを言っている。特にはっとしたのは、宿屋の親父の話。
悪い心を持った人間は他人を蹴落として自分がえらくなったように思いたがるが、それは違う。他人が低いところに落ちただけで、自分の場所は変わっちゃいないのさ。
自分のはしごを上って行くのはとても大変なことだ。だが、それをやり遂げた先には、さらに高いところが見えるもんだよ。
なんだか、今のこのおっさんになった身でこれをしっかり解いて、中に込められていることを全部汲み取ったら、少し人生の見方が変わるかもな、と思ったり。あれこれ並行して進める形になるが、これもじっくり取り組んで行きたいものだ。